
宅建と行政書士の違いとは?難易度や試験内容などを徹底比較

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宅建と行政書士の違いとは?難易度や試験内容などを徹底比較
・「宅建士と行政書士にはどんな違いがあるのか知りたい」
・「宅建士と行政書士のダブルライセンスを目指したい」
・ 「宅建士と行政書士資格の勉強時間を知りたい」
宅建資格を目指す人の中には、行政書士資格の取得を視野に入れている人もいるでしょう。
逆に、行政書士を目指す人の中には、宅建士資格の取得を視野に入れている人もいるでしょう。試験日も近いことから、両方の資格を取得して仕事に活かしたいと思う人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、宅建と行政書士の違いについて解説します。これからダブルライセンスを目指す人は、試験内容や勉強時間の違いを知っておきましょう。
【宅建士VS行政書士】仕事内容の違い
宅建士と行政書士の仕事は全く異なります。ここでは、それぞれの仕事の内容を詳しく解説します。
宅建士の仕事は「不動産関係」
宅建士の仕事は主に、不動産に関する様々な業務をします。具体的には以下のような業務内容です。
不動産売買や賃貸の仲介等取引をする際の重要事項説明
・売買や賃貸の契約書への記名押印
・売却や賃貸物件の査定
・不動産の悩み相談
不動産に関する取引の重要事項説明や契約書への記名押印などは、宅建士の独占業務となります。そのため、宅建士の資格をもった人しか行えない業務です。
また、不動産を売りたい人と買いたい人をマッチングする仲介業務をします。不動産の市場動向や土地の条件、建物の状態などを考慮し、適正価格で売却するための査定をするのも業務の一つです。さらに、買いたい人に対しては、要望やニーズに合った物件を探し、契約の手続きや条件の交渉をサポートします。
不動産取引や賃貸借契約において、法的な問題やリスクが生じる場合には、宅建士が法的アドバイスを提供します。契約書の内容や法令に関する調査をして、顧客の利益を最優先に守ります。
不動産取引に関するトラブルや紛争が発生した際には、解決に向けてサポートするのが宅建士の役割です。宅建士は、不動産取引の円滑な進行や顧客の利益を守ることが主な役割です。
行政書士の仕事は「行政機関に提出する書類作成」
行政書士の仕事は、行政機関に提出する書類の作成や手続きを代行します。具体的には以下のような業務があります。
・許認可申請書の作成
・補助金や助成金の申請
・各種届出書の提出
・法的支援の提供
企業や個人が行政機関に対して許認可を申請する際には、適切な書類が必要です。行政書士はこれらの許認可申請書を作成し、手続きを代行します。
また、補助金や助成金の申請をします。行政機関が提供する補助金や助成金を受けるためには、申請書類の作成や手続きが必要です。行政書士は、これらの申請書の作成や提出を代行し、顧客が補助金や助成金を受けられるようサポートします。
万が一、法的な問題や紛争が生じた際には、行政書士が支援の手助けをすることが可能です。たとえば、契約の解除や紛争の解決、行政機関との交渉など、様々な場面で法的なアドバイスを依頼者に代わって行います。
行政書士は、行政機関とのやり取りを通じて顧客の利益を守り、法的な手続きを円滑に進めることが主な仕事です。
【宅建士VS行政書士】合格率の違い

ここでは、宅建と行政書士資格試験の合格率の違いを解説します。比較的、行政書士試験の方が、宅建試験よりも合格率は低めです。
宅建士はおよそ15~17%
宅建士試験の合格率は、おおよそ15〜17%ほどです。以下の表を参考にしてみましょう。
年度 | 合格率 |
令和6年度 | 18.6% |
令和5年度 | 17.2% |
令和4年度 | 17.0%(12月実施15.6%) |
令和3年度 | 17.9%(12月実施13.1%) |
令和2年度 | 17.6% |
令和1年度 | 17.0% |
平成30年度 | 15.6% |
宅建試験は、国家資格の中で比較的合格率が高いといえますが、不動産取引や法律に関する幅広い知識が不可欠です。そのため、合格するには十分な学習時間と理解力が必要となります。
その結果、毎年約20〜28万の受験者が挑戦する中で、合格者は約3〜4万人の一定割合にとどまります。
参考資料:一般財団法人「不動産適正取引推進機構」|試験実施概況
行政書士はおよそ10~13%
行政書士試験の合格率はおよそ10〜13%となっており、宅建士よりも低めになっています。
年度 | 合格率 |
令和6年度 | 12.9% |
令和5年度 | 13.9% |
令和4年度 | 12.1% |
令和3年度 | 11.2% |
令和2年度 | 10.7% |
令和1年度 | 11.5% |
平成30年度 | 12.7% |
行政書士試験は宅建士試験よりも学習範囲が広くなります。行政書士で出題される科目は以下の科目です。
・憲法
・ 商法、会社法
・行政法
・ 民法
・基礎法学
・ 一般知識(政治、経済、文章理解など)
出題形式は「択一問題(5肢択一)」となっており、宅建試験(4肢択一)よりも答えを導き出すのが難しくなります。さらに、択一問題だけでなく、多肢選択式や記述式などを合わせた出題形式が3パターンあり、多くの学習時間が必要です。
このことからも、宅建に比べて合格率は低めとなるため、予備校などでの徹底した勉強が必要とされます。
参考資料:一般財団法人「行政書士試験研究センター」|試験結果推移
【宅建士VS行政書士】試験内容の違い

ここでは、宅建試験と行政書士試験の「試験内容」について解説します。重複している科目もいくつかあるため、把握しておきましょう。
宅建士は「法令4分野」
宅建試験には、主に以下の4つの分野が出題されます。
・権利関係
・宅建業法
・法令上の制限
・税その他
権利関係には、民法や借地借家法など不動産に関する権利や義務についての法的な規定が含まれます。事例問題が多く、法律の知識を暗記するだけでは解けません。
宅建業法とは、一般消費者が安心して不動産取引をするために、宅建業者が従うためのルールを定めた法律です。頻出される問題として主に「重要事項説明」「37条書面(契約書)」「自ら売主制限(8種制限)」などがあげられます。
法令上の制限は、土地の利用に関する制限のことです。たとえば、家を建てる際の建築面積や階数の制限を定めた都市計画法や建築基準法などがあります。細かい数字を暗記する必要があるため、苦手な人も多いのが現状です。
税・その他は、不動産取引に関連する税金やその他の法律が出題される科目です。50問中8問しか出題されませんが、学習範囲が広いため多くの受験生が頭を悩ませます。また、土地や建物に関する内容や、統計問題なども出題されるため、細かな学習が必要です。
行政書士は「法令5分野」と一般知識も
行政書士の試験内容は、広範囲な法令分野と一般知識が出題されます。出題される科目は、以下の通りです。
・憲法
・行政法
・民法
・商法
・基礎法学
・一般知識
憲法は主に、日本国憲法の条文からの問題が頻出します。「国民の権利及び義務」「国会」「内閣」「司法」など、103条の条文を覚えておけば解ける科目です。
行政法は、政府の権力を行使する方法や範囲を規定する法律の分野です。具体的には、行政機関がどのように権力を行使し、どのように国民との関係を調整するかを定めています。
行政法は、行政手続きや行政の適正性、行政機関の権限や義務、行政的な決定の審査や救済の手段などに関するルールがあります。これによって、行政機関から国民の権利や利益が保護されることが期待されます。
「行政手続法」「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」など、行政に関する法律や規則が出題されます。
民法は、私たちの普段の生活で起こりうることに関する法律です。たとえば、契約や財産、債権・債務などに関する法律があります。宅建試験にも出題される民法よりも、細かい知識や内容を問うケースが多いため、細かな学習が必要です。
商法(会社法)は、企業の設立や経営に関する法律が含まれます。会社法や商業登記法など、法人や商業取引に関する法令が対象です。
基礎法学では、憲法や民法の法律とは違い、法学の基本的な概念や原理に関する知識を問われます。法律の解釈方法や法的論理などの知識が必要です。
一般知識としては、政治・経済・社会: 国内外の政治情勢や経済動向、社会問題などに関する知識や、情報技術や通信インフラ、個人情報の保護に関する法律や規制についての理解が必要です。さらに、文章の内容や意味を正確に理解し、適切な判断を下す能力が必要な「文章理解」が出題されます。
行政書士試験は学習範囲が広いだけでなく、記述問題が出題されることから、法律知識のみならず法的に解釈するための理解が重要です。
【宅建士VS行政書士】勉強時間の違い

宅建試験と行政書士試験では、勉強時間に違いがあります。行政書士試験は宅建試験と比べて主題範囲と問題数が多いため、多くの勉強が必要です。
宅建士はおよそ300~400時間
宅建士の試験対策には、約300〜400時間の学習が必要です。そのため、勉強を始める時期が早ければ早いほど、1日の勉強時間を軽減できます。
宅建試験は、頑張れば独学でも合格できる試験です。しかし、ただ300〜400時間の勉強時間を確保するだけ良いというわけではなく、合格するための質の高い勉強をしなくてはいけません。
そのためには、参考書や問題集を通じて基礎を学び、過去問題を解いて実践力を養うことがポイントです。つまり、テキストを読むだけの勉強をするだけでなく過去問を繰り返し解く勉強が重要です。過去問を繰り返すことで、合格に必要な知識を定着できます。
とはいえ、独学では勉強時間を確保するのが難しいケースがほとんどではないでしょうか。学習のカリキュラムが整っている予備校に通うことで合格に必要な知識を取得しやすいため、おすすめです。
行政書士はおよそ500~800時間
行政書士試験に合格するためには、宅建試験よりも2倍近くの約500〜800時間の勉強時間が必要です。行政法や民法などの法令だけでなく、一般的な知識も幅広くカバーする必要があります。
さらに、出題される範囲が広いため、計画的に学習を進めていかなければいけません。条文や判例を暗記したり、記述式の答え方を訓練したり、さまざまな学習が必要です。
そのため、宅建士よりも難易度の高い資格であり、勉強時間も比例して多くなります。
宅建士と行政書士の学習時間の違いは、試験範囲や難易度の違いによるものです。目標に合わせて、適切な学習計画を立てるようにしましょう。
宅建と行政書士の資格取得をおすすめする理由3選
宅建試験と行政書士試験は、ダブルライセンスとして両方取得するのがおすすめです。ここでは、2つの資格取得をおすすめする3つの理由を解説します。
学習内容が重複している
宅建士と行政書士の資格試験は、どちらも「民法」が出題されます。そのため、民法を勉強しておけば、効率よく学習を進めることが可能です。
しかし、同じ民法でも難易度が異なることは知っておいた方が良いでしょう。たとえば、宅建試験の民法は基礎的な内容が中心になりますが、行政書士試験の民法は、より細かな知識や判例から答えを出す必要があります。さらに行政書士試験には、記述式があるため、民法の判例を細かく暗記しておかないと解くのが困難です。
とはいえ、民法の基礎知識を学習しておけば、両方の試験で活かされることになります。
試験の時期が近い
宅建士試験と行政書士試験は、それぞれの試験日が近いのが特徴です。
・宅建試験
10月第3日曜日(2025年10月19日予定)
・ 行政書士試験
11月第2日曜日(2025年11月9日予定)
両方の試験の時期が近いため、同時に勉強を進めれば効率的に試験対策が行えます。宅建士試験の勉強を終えたら、すぐに行政書士試験に向けて準備を始めましょう。
一度勉強のリズムを掴んでしまえば、次の試験勉強にスムーズに移行できます。
仕事の選択肢が広がる
宅建士と行政書士の両方の資格を持つことで、仕事の選択肢が広がります。たとえば、以下のような選択が可能です。
・不動産会社に就職
・不動産業で独立
・行政書士として独立
・不動産業と行政書士を併用して独立
また、宅建資格があることで、就職や転職に有利です。合わせて行政書士の資格を持っていることで、面接に有利となります。さらに、どちらの資格も「独立」が可能です。
宅建士と行政書士の両方の資格取得は有益であることから、両方の資格取得を検討することは、キャリア形成やスキルアップにおいておすすめといえます。
まとめ

宅建と行政書士は、試験内容や難易度、勉強時間などに大きな違いがあります。しかし、どちらの試験にも民法が出題されたり試験日が近かったり、両方勉強しておくことで同時に取得できる可能性があるためおすすめです。
宅建と行政書士の資格を取得すれば、就職や転職に有利となり、独立も可能です。現在、行政書士の資格を目指している人は、宅建の取得を視野に入れると良いかもしれません。ダブルライセンスを目指す人は、多くの時間を確保して効率よく勉強を進めていく必要があります。
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