
社労士試験の受験資格をわかりやすく解説!申込時に必要な書類や注意点も

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社労士試験に挑戦するための受験資格をわかりやすく紹介。学歴や実務経験の要件について詳しく解説し、例外や注意点もカバーしています。受験資格をクリアしているか確認したい方、必見のガイドです。

「高卒でも受験できる?」「実務経験は必要?」社会保険労務士(以下、社労士)試験に挑戦したいけれど、自分が受験資格を満たしているか不安な方も多いのではないでしょうか?本記事では、社労士試験に必要な受験資格について、学歴や職務経験に関する条件を中心にわかりやすく解説します。例外や注意点も紹介していますので、これから受験を考えている方はぜひ最後までご覧ください。
1.社労士試験とは?

社労士試験は、厚生労働大臣が実施する国家資格試験です。社労士として業務を行うためには、原則として社労士試験に合格し、全国社会保険労務士会連合会に登録する必要があります。
1-1.社労士の仕事とは
社労士は労働・社会保険・年金の専門家です。社労士が行う業務は、具体的には以下のように定められています。
労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類の作成申請書等の提出代行申請等についての事務代理都道府県労働局及び都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせん手続の代理都道府県労働局における障害者雇用促進法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、育児・介護休業法及びパートタイム・有期雇用労働法の調停の手続の代理個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続における当事者の代理 (紛争価額が120万円を超える事件は弁護士との共同受任が必要)労務管理その他の労働及び社会保険に関する事項についての相談及び指導 |
このうち1〜3の業務については、社労士の資格がない者は他人から報酬を得て行なってはいけない、いわゆる「独占業務」とされています。また社労士試験合格後、さらに紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿にその旨の付記を受けた社会保険労務士(特定社会保険労務士)は、4〜6の労使紛争トラブルのあっせん業務も行うことが可能です。
参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|社会保険労務士制度について
このように社労士の業務範囲は法律によって厳格に定められており、独占業務の規定によって一定の社会的地位が保証されているといわれています。
2.社労士試験の受験資格
社労士試験を受験するためには、受験資格が必要です。受験資格は、「学歴」「実務経験」「他資格試験合格」の3つに分類され、これら3つのうちいずれかの条件を満たすことで受験できます。
2-1.学歴
大学や短大卒業などで受験資格を得られますが、その他に以下のいずれかの条件を満たすことで受験資格を得られる場合もあります。
なお、「高等学校卒業」は学歴要件を満たしません。高卒者が社労士試験を受験する方法は4章を参考にしてみてください。
・大学、短大、高専等卒業 ・大学(短期大学を除く)における修得単位数 ※62単位以上。その他条件あり。 ・旧法令による旧制高校、大学予科、専門学校卒業 ・厚生労働大臣が認めた学校(88種)卒業 ・専門学校卒業・各種学校等卒業(短期大学など) |
2-2.実務経験

社労士試験は、実務経験を積むことで受験資格を得られる場合もあります。
代表的な例は「社労士事務所での勤務期間3年以上」という条件ですが、その他にも細かな条件が複数存在します。
・労働社会保険諸法令の規定に基づき設立された法人の役員又は従業者 ・国又は地方公共団体の公務員等 ・日本郵政公社の役員又は職員 ・全国健康保険協会又は日本年金機構の役員又は従業員 ・社会保険労務士又は弁護士の補助者 ・労働組合の専従役員 ・会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含む)の労務担当役員 ・労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者 |
実務経験として認められるためには、すべて3年以上の従事期間が必要です。
実務経験について受験資格を満たしているか判断に迷った場合は、試験申込の受付期間外でも試験センターに問い合わせをして事前に確認することができます。
問い合わせは定型の様式によって行う必要がありますので、詳しくは「社会保険労務士試験オフィシャルサイト|受験資格・免除資格の事前確認」ページを確認してください。
2-3.他資格試験合格
社労士試験は、学歴や実務経験の条件を満たすことができない場合でも、社労士以外の資格を取得することで受験資格を得ることができる場合があります。
・社労士試験以外の国家試験(79種)合格 ・司法試験予備試験等の合格 ・行政書士試験の合格 |
「社労士試験以外の国家試験(79種)」の詳細は「厚生労働大臣が認めた国家試験」から確認できます。
参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|受験資格について
3. 申込時に必要な受験資格の証明書類
3-1.学歴
学歴が受験資格要件に該当していることを証明するためには、以下の書類が必要です。
“卒業”を証明するもの
・卒業証明書若しくは修了証明書又はその写し ・卒業証書の写し ・学位記の写し 等 |
”単位取得”を証明するもの
・大学の成績証明書又はその写し |
3-2.実務経験
実務経験の証明は、いずれの場合も試験センターが発行している様式を使用して行います(【試験センター様式】実務経験証明書又はその写し)。
また、実務経験は自己申告だけでは受験資格として認められず、第三者による証明が必要です。
証明者=職歴上の代表者・事業主・任命権者ということになるため、複数の事業所の経験期間を通算する場合などは前の雇用主に証明を依頼する必要が出てくることもあるでしょう。
【証明者が記入する事項】
・証明者の情報(社名、役職など) ・受験申込者の実務経験に関すること ①従事期間 ②会社等の名称 ③所属部署名 ④従事した事務内容(箇条書きで具体的に記載) |
証明書には原則として、証明者の「社判(会社印)」及び「代表者等の役職印」の2つの押印が必要です。実務経験の証明をする場合は、時間に余裕をもって準備することをおすすめします。
3-3.他資格試験合格
他資格試験合格の証明は、原則として「合格証明書又はその写し」「合格証書の写し」を提出することで行います。
行政書士試験の合格をもって受験資格とする場合は、「証票又は会員証の写し」でもよいとされています。
3-4.過去受験
その他、過去に社労士試験を受験したことがある場合などは、以下の書面を添付することで受験資格の証明とすることができます。
・直近3年間に実施された社労士試験の受験票または成績(結果)通知書 ・社労士試験科目の一部免除決定通知書の写し |
受験資格の証明には一苦労する場合もありますので、試験を受けたあとの受験票や成績(結果)通知書は破棄せず大切に保管しておくことをおすすめします。
参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|受験資格及び受験資格証明書
4. 高卒者が受験資格を満たす方法
2章で解説したとおり、高校卒業では「学歴」要件を満たさないため、別の要件を満たす必要があります。ここでは高卒者が社労士試験の受験資格を満たすための、おすすめの方法をご紹介します。
<おすすめの3つの方法>
①行政書士試験に合格する
社労士試験の受験資格を得るために行政書士試験に合格する、というのは一見遠回りのように思う人もいるかもしれませんが、社労士と行政書士は業務の関連性が高い資格です。
社労士・行政書士のダブルライセンスで活躍の場を広げることができるため、行政書士資格を取得しておいて無駄になることはないでしょう。
また行政書士試験は、効率よく勉強すれば600〜1,000時間ほどの勉強時間で取得可能な試験です。
働きながらでもおよそ10ヵ月〜11ヵ月で合格できる可能性があるという計算になるので、もっとも短期間で社労士試験の受験資格を獲得しうる方法といえます。
②短期大学を卒業する
働いている人や家庭がある人にとって、四年制大学や専門学校を卒業することは時間や費用の面からハードルが高くなりがちです。しかし短期大学であれば、四年制大学よりも短期間で卒業でき、費用も比較的抑えることができるため挑戦しやすいかもしれません。なかには通信制や土日に授業がある学校もあり、仕事や家庭との両立も可能でしょう。
また、社労士試験の試験科目に関連した学部を専攻できれば、試験勉強もアドバンテージがある状態からスタートできるという点もメリットです。さらに社労士試験の勉強をしながら短期大学を卒業できれば、最短2年ほどで社労士試験の受験が可能になるので効率的でもあります。
③社労士事務所で補助業務の仕事に就く
この方法は少なくとも3年以上の期間が必要ですが、実務の経験を積みながら社労士試験の勉強をしていけば合格後のキャリア形成もスムーズにいくことが期待できます。実際の社労士の仕事を身近に感じることができる点もメリットです。
なお、一般企業で「実務経験」の受験資格を満たすことも可能ですが、自分の希望した部署に配属され、かつ必要な期間、配置転換なく継続して実務に携わることができるかどうかはわかりません。
そのためより確実に、「社会保険労務士の補助者」としての実務経験をもって受験資格を得るためには、社労士事務所で補助業務の仕事に就くことをおすすめします。
5.まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
◉社労士試験の受験資格を満たすには、「学歴」「実務経験」「試験合格」のいずれかの要件を満たす必要がある。
◉学歴が高校卒業でも、受験資格を得られる可能性がある。
◉「実務経験」の受験資格要件の証明には事業主等の協力が必要なので早めの確認、準備を。
社労士は、社労士にしかできない独占業務が存在する社会からの信頼性が高い資格です。簡単に取得できる資格ではないからこそ、社会において求められるスキルを持っているといえるでしょう。
そして社労士試験は、どんな人にも挑戦できる道が用意されています。

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